福利厚生費と現物給与
会計上は、福利厚生費で計上していても、
税務上は、現物給与として所得税の課税対象になる場合があります。
<現物給与>
現物給与とは、会社から役員・従業員に与えられる物品、サービスその他の経済的利益で、給与として取り扱われるものをいいます。
リンク:No.2508 給与所得となるもの|国税庁
課税対象となる現物給与については、会社は源泉徴収を行う必要があります。
原則として、現物給与は、所得税の課税対象となります。
国税庁は、基本通達や質疑応答事例等において、所得税を課税しない経済的利益などの取扱いを定めています。
したがって、
「全社員を平等に取扱う → 福利厚生費 → 所得税が課税されない」
と単純に判断することはできません。
<福利厚生費・給与課税を判断するポイント>
福利厚生に関する支出については、例えば次の点を考慮します。
① 対象者の範囲に合理性があるか
② 金銭の支給ではなく、会社による物品・サービスの提供であるか
③ 金額・内容が社会通念上相当か
④ 特定の役員・従業員に対する個人的な利益となっていないか
<福利厚生費と給与課税の例>
| 支出例 | 系統 | 給与課税 |
| 職場のお茶・コーヒー | 職場共用の飲料 | 通常の範囲か検討 |
| 職場に置く少額のお菓子 | 職場共用・休憩環境 | 〃 |
| 社員食堂 | 福利厚生 | 非課税要件あり |
| 残業時の食事 | 勤務に伴う食事 | 一定の場合非課税 |
| 健康診断・人間ドック | 健康管理 | 〃 |
| 社員旅行 | レクリエーション | 一定の要件を満たせば非課税 |
| 社内レクリエーション | レクリエーション | 〃 |
| 社内行事での食事 | 福利厚生 | 通常の範囲なら福利厚生費 |
| 結婚祝金 | 慶弔 | 社会通念上相当な範囲なら非課税 |
| 出産祝金 | 慶弔 | 〃 |
| 香典・弔慰金 | 慶弔 | 〃 |
| 病気見舞金 | 慶弔 | 〃 |
| 社宅・寮 | 福利厚生 | 賃貸料相当額のルールあり |
| 職務上必要な研修 | スキルアップ | 適正額なら非課税 |
| 職務上必要な資格取得 | スキルアップ | 〃 |
<国税庁 基本通達>
リンク:〔給与等に係る経済的利益〕|国税庁
36-21 課税しない経済的利益:永年勤続者の記念品等
36-22 課税しない経済的利益:創業記念品等
36-23 課税しない経済的利益:商品、製品等の値引販売
36-24 課税しない経済的利益:残業又は宿日直をした者に支給する食事
36-25 課税しない経済的利益:掘採場勤務者に支給する燃料
36-26 課税しない経済的利益:寄宿舎の電気料等
36-28 課税しない経済的利益:金銭の無利息貸付け等
36-29 課税しない経済的利益:用役の提供等
36-29の2 課税しない経済的利益:使用人等に対し技術の習得等をさせるために支給する金品
36-30 課税しない経済的利益:使用者が負担するレクリエーションの費用
36-31 使用者契約の養老保険に係る経済的利益
36-31の2 使用者契約の定期保険に係る経済的利益
36-31の3 使用者契約の定期付養老保険に係る経済的利益
36-31の4 使用者契約の傷害特約等の特約を付した保険に係る経済的利益
36-31の5 使用者契約の生命保険契約の転換をした場合
36-31の6 生命保険契約に係る取扱いの準用
36-31の7 使用者契約の保険契約等に係る経済的利益
36-31の8 使用人契約の保険契約等に係る経済的利益
36-32 課税しない経済的利益:使用者が負担する少額な保険料等
36-33 使用者が負担する役員又は使用人の行為に基因する損害賠償金等
36-34 使用者が負担するゴルフクラブの入会金
36-34の2 使用者が負担するゴルフクラブの年会費等
36-34の3 使用者が負担するレジャークラブの入会金等
36-35 使用者が負担する社交団体の入会金等
36-35の2 使用者が負担するロータリークラブ及びライオンズクラブの入会金等
<国税庁 タックスアンサー>
リンク:No.2508 給与所得となるもの|国税庁
2582 電車・バス通勤者の通勤手当
2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当
2588 学資に充てるための費用を支出したとき
2591 創業記念品や永年勤続表彰記念品の支給をしたとき
2592 使用人等の発明に対して報償金などを支給したとき
2594 食事を支給したとき
2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき
2600 役員に社宅などを貸したとき
2601 職務に必要な技術などを習得する費用を支出したとき
2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行
2606 金銭を貸し付けたとき
<国税庁 質疑応答事例>
リンク:源泉所得税目次一覧|国税庁
1 定年前退職者等に支給する転進助成金
2 成績優秀者を対象として行う海外旅行に係る経済的利益
3 労働組合の執行委員が休日に組合行事等に従事した場合の日当
4 会社設立発起人が受ける報酬の所得区分
5 過去に遡及して残業手当を支払った場合
6 障害者が2キロメートル未満を交通用具で通勤する場合の通勤手当の非課税限度額
7 数か所に勤務する者に支給する通勤費
8 2以上の使用者から支払を受ける役員の出勤費用
9 交通用具を使用している者の通勤距離が変更となった場合の非課税限度額
10 アルバイトに支給する通勤手当の非課税限度額
11 通勤手当と住宅手当を合算して支給する場合の取扱い
12 緊急業務のために出社する従業員に支給するタクシー代等
13 単身赴任者が会議等に併せて帰宅する場合に支給される旅費
14 単身赴任者等に支給するいわゆる着後滞在費
15 人間ドックの費用負担
16 住宅の値引販売による経済的利益
17 背広の支給による経済的利益
18 創業50周年を記念して従業員に支給した商品券
19 使用者が使用人等に対し食事代として金銭を支給した場合
20 カフェテリアプランによるポイントの付与を受けた場合
21 カフェテリアプランによる旅行費用等の補助を受けた場合
22 カフェテリアプランによる医療費等の補助を受けた場合
23 役員に貸与したマンションの共用部分の取扱い
24 社宅に係る通常の賃貸料の額を計算する場合の固定資産税の課税標準額
25 役員に貸与したマンションの管理費
26 社員に家具等を貸与した場合の経済的利益
27 健康保険料の事業主負担(2分の1以上の負担)による経済的利益
28 海外の特定危険地域在住の従業員を被保険者とする損害保険契約の掛金を会社が負担する場合の経済的利益
29 給与の支給期日に死亡した者に対する課税
30 自由に選択できる永年勤続者表彰記念品
31 時間外勤務が深夜に及ぶ場合のホテル代
32 株主代表訴訟に係る弁護士費用等の負担
33 金銭の払込みに代えて報酬債権をもって相殺するストックオプションの税制適格の要否
34 吸収合併により消滅会社のストックオプションに代えて存続会社から交付されるストックオプションについて権利行使価額等の調整が行われる場合
35 講習会の出席費用の負担
36 使用人が使用者からベビーシッター費用の補填金を受領する場合の課税関係