概要
金融資産は、様々な種類のものが数多くあります。
金融資産に対する課税の方法は、種類や、保有(利子・配当)と譲渡で異なる上に、多岐に渡り複雑です。
そこで、金融商品の種類や課税の方法を整理いたしました。
(2026.2.16現在の情報整理)
<金融資産の種類>
1 預貯金
2 財形貯蓄
3 確定拠出年金
4 債券
5 株式
6 投資信託
7 外貨建て金融商品
8 派生商品
9 その他の金融商品
種類1 預貯金
普通預金
通常貯金
定期預金(貯金)
定期積金 など
種類2 財形貯蓄
一般財形貯蓄
財形年金貯蓄
財形住宅貯蓄
種類3 確定拠出年金
個人型確定拠出年金(iDeCo:イデコ)
企業型確定拠出年金(企業型DC)
種類4 債権
国債
社債
種類5 株式
上場株式
一般株式
種類6 投資信託
上場投資信託(ETF:イーティーエフ)
不動産投資信託(REIT:リート)
種類7 外貨建て金融商品
外貨預金
外貨建証券取引
外国債券
外国株式
外国投資信託
外貨建個人年金保険
種類8 派生商品
先物取引(CX取引)
オプション取引
スワップ取引
種類9 その他の金融資産
金地金
FX取引(外国為替証拠金取引)
暗号資産
CFD取引(差金決済取引)
保険商品
<利子所得と配当所得、非課税>
1 課税
利子所得:利子所得対象の金融資産を保有して得た収入
配当所得:配当所得の対象となる配当(分配)で得た収入
2 非課税
制度で非課税とされた収入(利子・配当)
利子所得の起因となる資産
1 預貯金の利子
銀行の預金
郵便局の貯金
2 公社債の利子
公債:国債、地方債
社債:一般の社債、農林債、商工債、放送債
3 合同運用信託
金銭信託
貸付信託
4 公社債投資信託の収益の分配
5 公募公社債等運用投資信託の収益の分配
※利子所得は、所得税法では、総合課税扱いです(所法23①、89)。
しかし、その多くは租税特別措置法により源泉分離課税とされています(措法3)。
配当所得の対象となる配当(分配)
剰余金の配当利益の配当剰余金の分配金銭の分配基金利息投資信託の収益の分配特定受益証券発行の収益の分配公社債投資信託 以外 の収益の分配
※配当所得は、所得税法では、総合課税扱いです(所法24①、89)。
その中で、配当の起因となる元本が、「一般株式等」とされるものは、原則として総合課税による申告が必要です。
そして、配当の起因となる元本が、「上場株式等」に該当するものは、①総合課税(配当所得)、②申告分離課税(上場株式等に係る配当所得等の金額)、③申告不要のいずれかを選択できます。
配当の起因 となる元本 |
課税方法 |
| 一般株式等 |
総合課税(原則) |
| 上場株式等 |
次のいずれかを選択 ①総合課税 ②分離課税 ③申告不要 (一部、総合課税を選択できないものがあります) |
非課税(配当・利子)
NISA口座内の配当
マル優制度の預貯金の利子
財形住宅と財形年金 など
<課税の方法>
1 上場株式等に係る課税方式
(1)利子・配当
支払時に源泉徴収(特別徴収)が行われ、申告不要とすることができます。
特定上場株式等の配当は、総合課税(配当所得)と申告分離課税(上場株式等に係る配当所得等の金額)の選択ができます。
(2)譲渡
申告分離課税(上場株式等に係る譲渡所得等の金額)による申告が必要になります。
特定口座(源泉徴収を選択した場合に限る)で行った譲渡は、申告不要を選択できます(源泉徴収をしない特定口座で行った譲渡は、申告不要を選択できない)。
<上場株式等に係る課税方式>
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保有による所得 |
譲渡等による所得 |
| 所得 |
利子所得 |
配当所得 |
譲渡所得等 |
| 収入 |
・特定公社債の利子 ・公募公社債投資信託の収益分配金 ・公募公社債等運用投資信託の収益分配金 |
・上場株式等の配当 ・公募の証券投資信託の収益分配金 ・特定投資法人の投資口の配当等 |
・上場株式の譲渡損益 ・公募投資信託の受益権の譲渡損益 ・特定公社債の譲渡損益 |
| 課税方式 |
申告分離課税 申告不要
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総合課税 申告分離課税 申告不要
|
申告分離課税 申告不要(源泉徴収ありの特定口座) |
2 一般株式等に係る課税方式
(1)利子
一般株式等の利子等は、原則として、源泉徴収(特別徴収)される源泉分離課税とされ、申告することができません。
ただし、同族会社が発行した社債の利子でその同族株主が支払を受けるものは、源泉徴収(特別徴収)された上で、総合課税による申告が必要です。
(2)配当
一般株式等の配当等は、原則として、源泉徴収(特別徴収)された上で、総合課税による申告が必要です。
ただし、内国法人から支払を受ける配当等で少額配当(年10万円相当以下)は、所得税に限り、申告不要制度が設けられています。
(3)譲渡
一般株式等の譲渡等による所得は、申告分離課税(一般株式等に係る譲渡所得等の金額)による申告が必要です。
<一般株式等に係る課税方式>
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保有による所得
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譲渡等による所得 |
| 所得 |
利子所得 |
配当所得 |
譲渡所得等 |
| 収入 |
・一般公社債の利子 ・私募公社債投資信託の収益分配 |
・非上場株式等の配 |
・私募公社債等運用投資信託の収益分配金 |
・非上場株式の譲渡損益 ・一般公社債や私募投資信託の受益権の譲渡損益 |
| 課税方式 |
源泉分離課税 (申告不可)
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総合課税 |
源泉分離課税 (申告不可) |
申告分離課税 |
<株式等の譲渡 申告分離課税とされる株式等>
1 譲渡等の際に申告分離課税とされる株式等
(1)株式
・株式
・株主又は投資主となる権利
・株式の割当てを受ける権利
・新株予約権
・新株予約権の割当てを受ける権利
(2)出資
・出資者の持分
(3)投資信託
・証券投資信託の投資信託の受益権
・証券投資信託以外の投資信託の受益権
・特定受益証券発行信託の受益権
・特定目的信託の社債的受益権
(4)公社債 H28年~
・公社債
2 申告分離課税とされる株式等から除かれるもの
・株式形態のゴルフ会員権(総合課税の譲渡所得)
・有価証券先物取引の方法による株式等の譲渡による所得(総合課税の譲渡所得)
・ストックオプション(給与、退職、一時、雑)
・農林債の譲渡による所得(非課税)
・貸付信託の受益権の譲渡による所得(非課税)
<上場株式等と一般株式等>
上場株式等と一般株式等のどちらに該当するかで課税の方法が異なります。
1 一般株式等
上場株式等に該当しないもの
(措法37の11②)
2 上場株式等
(1)株式等で金融商品取引所に上場されているもの等
① 株式等で金融商品取引所に上場されているもの
・上場株式
・上場投資信託の受益権
(上場投資信託:ETF ※市場の種類)
・上場の投資法人の投資口
(不動産投資信託:JーREIT ※市場の種類)
(インフラファンド ※市場の種類)
・上場新株予約権付社債
・上場優先出資証券
・上場特定受益証券発行信託の受益権
(上場投資証券:ETN ※市場の種類)
・上場公社債投資信託の受益権
② 上場されているものに類する次のもの
・店頭売買登録銘柄として登録された株式
・店頭転換社債型新株予約権付社債
・店頭管理銘柄株式
・認可金融商品取引業協会の定める規則に従い、登録銘柄として認可金融商品取引業協会に備える登録原簿に登録された日本銀行出資証券
・外国金融商品市場において売買されている株式等
(2)受益権等の募集が公募により行われるもの
③ 公募投資信託の投資口
④ 特定投資法人の投資口
⑤ 公募特定受益証券発行信託の受益権
⑥ 公募の特定目的信託の社債的受益権
(3)特定公社債とされるもの
⑦ 金融商品取引所に上場されている公社債
⑧ 国債及び地方債
⑨ 外国又はその地方公共団体が発行し又は保証する債券
⑩ 会社以外の法人が特別の法律により発行する債券
⑪ 公募公社債等
⑫ 社債のうち、その発行日前9月に有価証券届出書等を内閣総理大臣に提出している法人が発行するもの
⑬ 金融商品取引所又は外国の金融商品取引所において公表された公社債情報に基づき発行する公社債
⑭ 国外において発行された公社債で一定のもの
⑮ 外国法人が発行し又は保証する債券で一定のもの
⑯ 銀行業又は第一金融商品取引業を行う者や外国法令に準拠してその外国において銀行業又は金融商品取引業を行う法人等が発行した一定の社債
⑰ 平成27年12月31日以前に発行された公社債
<上場株式等の配当等の課税関係>
| 上場株式等の配当等の区分 |
源泉徴収 |
課税区分 |
| 特定上場株式等の配当等 |
支払時に源泉徴収あり ・源泉徴収ありの特定口座 |
所 15.315% 住 5% |
選択 ・総合課税 ・申告分離課税 ・申告不要 |
支払時に源泉徴収なし ・源泉徴収なしの特定口座 ・特定口座以外
|
- |
選択 ・総合課税 ・申告分離課税 |
| 上記以外の配当等 |
支払時に源泉徴収あり ・源泉徴収ありの特定口座 |
所 15.315% 住 5% |
選択 ・申告分離課税 ・申告不要 |
支払時に源泉徴収なし ・源泉徴収なしの特定口座 ・特定口座以外 |
- |
・申告分離課税 |
| 内国法人の大口株主等が受ける配当等 |
所 20.42% |
・総合課税 ※少額配当は、所得税に限り申告不要可 |
<上場株式等に係る配当等とされるもの>
① 株式等で金融商品取引所に上場されているものの配当等
② 公募証券投資信託の収益の分配
③ 特定投資法人の投資口の配当等
④ 証券投資信託以外の公募投資信託の収益の分配
⑤ 公募の特定受益証券発行信託の収益の分配
⑥ 公募の特定目的信託の社債的受益権の剰余兼の配当
※①~③は、特定上場株式等の配当等と呼びます。
<上場株式等の譲渡の課税関係>
| 区分 |
課税方法 |
| 上場株式等の譲渡等 |
・源泉徴収ありの 特定口座 |
選択 ・申告分離課税 ・申告不要 |
・源泉徴収なしの 特定口座 ・上記以外 |
・申告分離課税 |
※源泉徴収と申告分離課税の税率が同じため、 通常は、申告不要を選択します(損益通算・損失繰越を除きます)。
|
所得税等 |
所得割 |
| 源泉徴収・特別徴収 |
15.315% |
5% |
| 申告分離課税 |
15.315% |
5% |
<雑所得>
暗号資産により生じた利益
先物取引の差金決済に係る所得
外貨建て預金等の為替差益
<譲渡時の所得区分>
資産の譲渡による所得は、譲渡所得とされています(所法33②)。
ただし、たな卸資産の譲渡や、その他営利を目的として継続的に行われる資産の譲渡は、譲渡所得に含まれないこととされ(所法33②一)、
その譲渡が社会通念上で事業と称するに至る規模で行われているものであれば事業所得(所法27①)、
事業と称するには至らない規模であれば雑所得(所法35①、所基通35-2(7))とされています。
資産の譲渡のうち上場株式等の譲渡による所得は、租税特別措置法により、他の所得と区分して、上場株式等に係る譲渡所得等の金額として課税されます。
上場株式等に係る譲渡所得等の金額は、次の3つの所得の金額の合計ともいえます。
・上場株式等の譲渡に係る 譲渡所得 の金額
・上場株式等の譲渡に係る 事業所得 の金額
・上場株式等の譲渡に係る 雑所得 の金額